テックブログを週1回・1年間更新継続するための3ステップ
Synamon採用担当の熊谷(@spirea_xxx)です!
なんと、弊社のテックブログが週1回・連続1年更新を達成しました~!!!
弊社のテックブログ記事や1年更新のことををSNSで皆さんに紹介する中で「テックブログの週1回更新を1年間続けるって、相当すごいんじゃないか?」と思い立ち、せっかくなのでテックブログにてその運用の仕組みやコツを極力シンプルな形(3ステップ!)にして、公開することとしました。
弊社エンジニアへのヒアリング&校閲を経ての公開ですので、人事が理想論交じりに好き勝手書いた記事ではないことを最初に申し添えておきます。人事が代筆した、弊社エンジニアの汗と涙の結晶です。
どこまで汎用性がある仕組みかはわかりませんが、この記事が技術広報に前向きな皆さんの手助けとなることを願います。
STEP1 : 全体ヒアリング
テックブログ更新が定着する前のSynamon(2018~2020)のテックブログ更新数は年に5本。出せているだけでもすごい、けれど、「もっと出したい」という漠然とした思いもありました。
それに加え、当時Synamonがやりたかったこと(今もですが)が「会社認知度の向上」と「会社ブランディング」。これらを推し進める手段の一つとして「テックブログ運用」がしっかりと方針として持ち上がりました。
テックブログを運用するためには、まず今理想通りの運用ができていない理由を明らかにするのが大事では?ということで、熱量の高いエンジニアを起点に、エンジニア全員対象のヒアリングを実施。ブレスト形式で、テックブログ運営における課題を一気に洗い出しました。
その結果見えてきたSynamonの課題は、ざっっっくりと以下の2点(もう少し分解して分析しましたが一旦割愛)。
- 書く人がいない
- 更新が続かない(継続性のある運営施策が立てられていない)
これらが解決されればテックブログは安定的に更新されるはず!…ということで、対応する施策を検討&実行していくのが基本的な思想です。
STEP2:「テックブログ運営チーム」の立ち上げ
Synamonの課題、「書く人がいない」を解決するために考案された仕組みが、「テックブログ運営チーム」です。
人間、一人で何かをやろうとしても心が折れてしまうというもの。
実際、ずっと不定期更新が続いていた弊社のテックブログ運営が再スタートを切れたのは、「技術広報をやりたい(やるべきだ)」という強い想いを持ったエンジニアが声を上げ、それに呼応するように熱量の高い仲間が現れたことが大きかったと思います。
Synamonではテックブログ運営を再始動にあたって、熱量が比較的高いメンバーで構成された「テックブログ運営チーム」を立ち上げました。編集長を置くわけでなく、チームで運営することで得られたメリットは以下の通りです。
- モチベーション維持
→一人だけで頑張るのではなく、一緒に頑張る仲間がいるのは大きな支えと責任感になる
- 継続性の担保
→「今週出す予定だったけど、業務の都合で厳しい…」というときに、他の運営メンバーが助け船を出せる
→有志(熱量が高いメンバー)で運営チームを構成することで、安定した更新ができる
振り返ってみても、モチベーション維持の効果は大きかったと思います。
自分だけじゃないというのは、「支え(気軽さ)」と「プレッシャー」両軸で更新を後押ししてくれました。
「自分ばっかりがテックブログ書けおじさん(おばさん)にならなきゃいけない…」と思うと、気も滅入るというものです。一人が心細いなら、みんなでテックブログ書けおじさん(おばさん)になればいいじゃない!
TIPS : 仲間作りには積極性が大事
Synamonテックブログ運営チームは、全体ヒアリングの後に行われた、個別ヒアリングがあってやっと立ち上がりました。
やる気のある誰かが、燻っている人の目の前まで行って、「やらない?」と声をかける。手を挙げないのはやる気がないからではなく、勇気が出ないから…というケースは往々にしてあります。
「やれる人いたらやろう」ではなく、「やりたいと思ってるんだけど、一緒にやってみない?」と周りを巻き込む。結果、それに応えて腰を上げた仲間が加入し、テックブログ運営チームは4人になり、Synamonのテックブログは1年連続更新を達成しました。
もちろん、個別で聞いてみた時に「運営チームという形で関わるのは難しい」というメンバーもいます。そういう人に無理強いはせず、あくまでやりたい人が頑張ってやろう、というスタンスをとりました。(結果、運営チーム以外のメンバーも寄稿してくれるようになりました。その背景にある仕組みは後述します)
STEP3:「記事管理シート」の作成と「運営定例MTG」の実施
Synamonの課題、「更新が続かない(継続性のある運営施策が立てられていない)」を解決するために考案された仕組みが、「テックブログ記事管理シート」&「テックブログ運営定例MTG」です。
テックブログ記事管理シート
社員全員がアクセスできるスプレッドシート。
公開ステータス、担当、タイトル、公開予定日、下書きプレビューURL、Twitter投稿用おすすめポイント、公開日、公開URL、備考欄で成り立つシンプルな管理シートです。
出した記事の管理だけでなく、「これから出す記事」にフォーカスが当たるように、かつ運用はシンプルに…という想いで作成されました。
【項目説明】
- 公開ステータス
ネタ出し~公開済みの中から現在のステータスを選択。公開済みに設定すると自動塗りつぶし - 担当
担当者を選択 - タイトル
記事タイトルを記入 - 公開予定日
公開予定日を記入 - 下書きプレビューURL
下書き完成時にURLを記入。公開前に内容を社内でレビューできるようにすることで、公開する前の不安を軽減するねらい - Twitter投稿用おすすめポイント
誰向けの記事なのか、どの点が面白いのか、担当視点でおすすめポイントを記入。
広報担当(非エンジニア)でも魅力的な紹介文が書けるようにするねらい - 公開日
実際の公開日を記入 - 公開URL
公開URLを記入。広報担当がSNS発信で使う 備考欄
その他書きたいことがあれば記入
今回はこの記事を読んでいる皆様が社内ですぐ動き出せるように、Synamonで使用しているテンプレートを公開します。
使いやすいようにカスタマイズしてより良いテックブログ更新ライフをお過ごしください!
テックブログ管理シートテンプレ - Google スプレッドシート
テックブログ運営定例MTG
上記テックブログ記事管理シートを活用しながら、週次で30分間行われる定例MTGです(Synamonでは毎週水曜17:30-18:00開催)。
STEP2で結成されたテックブログ運用チームが必須で参加し、その他メンバーは自由参加となります。
この定例では以下の確認や相談が行われます。今週/来週公開予定の記事は順調か?公開まで問題なくいけそうか?
→開発進捗がヤバい場合はここで素直に相談、対策をみんなで考える
- なにか面白いネタはないか?
→「そういえば業務で使ってるあの技術はいいネタになるんじゃないか」など、自分にない観点からネタが降ってくる場合がある
→「(運営チームじゃないメンバー)が「テックブログ書けそうかも」と言っていた」などの社内情報シェア&当該メンバーへの後押し(ここで後押しすることで、運営メンバー以外も寄稿してくれることがままあります)
ちなみに、Synamonのテックブログ運営チームは複数ある開発チームを横断して結成されているため、見えなくなってしまいがちなそれぞれの状況のシェア&交流の場になっているのも副産物として良いな、と感じています。
その他、テックブログ運用を継続する上で効果を感じたもの
外部からのリアクション
やはり、記事を書いたエンジニア視点で嬉しいのは「その記事を読んだ人の反応」。
RTが伸びればそれだけ困った人に届くということ、いいねが伸びればそれだけ役に立てた、興味を持ってもらえる記事を書けたということ。
外部からのリアクションは、記事の影響力や役に立ち度合いを測る一番直接的な指標であり、やる気に繋がるという意見は社内でも多かったです。
テックブログの反応はスター数、View数、RT数、いいね数…と数値で追えるものもありますが、そうでないものも。
Synamonではカジュアル面談や、採用イベントに参加してくれたエンジニアが「いつもテックブログ見てます」「発信力高いですね!」と好意的なコメントをくれることが非常に多く、人事はこの意見をメモし、即社内に展開することを心がけています。
エンジニアメンバーから人事には「伝えてくれてありがとう」と感謝が伝えられ、人事も自社のエンジニアが喜ぶ姿が見たいので共有する…という良いサイクルが築けており、これも運用を支える一つの要素になっています。
個人のモチベーション
チームを立ち上げたからといって、結局書くか書かないかはその個人に委ねられてしまう。
そんな時背中を押すのは自分自身のモチベーションであり、Synamon社内では以下のようなモチベーションが多く伺えました。
「まだ世の中にない情報を言語化して残したい」
「自分が困るということは、世の中に困っている人が他にもいるということ。自分がエンジニアになったばかりのころ、たくさんのテックブログに助けられたから、自分が書く側になることでエンジニアコミュニティに貢献したい」
「自分自身のアウトプットや実績として残るので、今後のキャリアに繋がる(運用も、執筆も)」
仲間づくりをする上では、上記個人観点のモチベーションも刺激してあげると、スムーズに回ることもあるかもしれませんね。
目的の共有
「あれ、俺、何のためにわざわざ会社のテックブログ書いてるんだっけ…?いらなくない?」
実はSynamonにも当初「なんで書くのかわからない」という意見は一定数あり、一度テックブログを書く目的をエンジニア主体で整理&共有しました。
Synamonの場合はざっくり以下の形。
【会社視点】
- 外部のエンジニアに対する認知向上
- 採用面で有用
【個人視点】
- エンジニア個人のブランディング
- アウトプット能力の向上
【会社&個人視点】
- 普段つくっているものに価値があるということの再認識
これに、上記の外部リアクションが結果として返ってきて、「目的が達成されている!」という達成感に繋がったと考えています。
「ここまで続けたんだ…!」という実績
これは言わずもがななところもありますが、週1更新が半年を超えたあたりから、明らかに社内の空気が変わりました。
具体的に言うと、明確に担当者に「ここまで続いたものを、自分の番で落とすわけにはいかない…」という使命感が現れるようになりました(現にわたしも今その使命感を感じています)。
加えて、Synamonの場合だと毎週金曜に全社で実施している社内MTG内に「バリュー&winセッション」というコーナーがあり、ここで毎週テックブログの更新が祝われます。
エンジニア、人事以外のデザイナーやBizDev、経営陣も「すごいね」と拍手し、もはや全社的な習慣と文化になりつつあるのも使命感を強くします。
ここで来週の担当者も発表されるのですが、ここで流れる空気は「まさかお前、落とさないよな…!?」というギスギスしたものでなく、「自分、来週落とさないように頑張ります!!ww」「頑張れ~!ww」という前向きなものなのも大切な点。
週1更新を1年続けてこれましたが、あくまで最優先は通常業務という共通認識があるので、テックブログに関してはプラスアルファで頑張ろうの雰囲気が醸成されているのかなと思います。
週1更新を1年続けてよかったこと
認知・ブランディングに効いた
ここまでにも何度か触れましたが、まず「テックブログを頑張っている会社」という認知・ブランディングに効いたのはとても良かったと思っています。
数値としても徐々に出始めていて、積極的な運用を始めた21年の7月と比較すると、ユーザー数が178%アップ、セッション数が221%アップ、直帰率が3.6%ダウン、セッション継続時間が37.5%アップ…と、すべての数値が良い方向に伸びています。
とはいえテックブログの運用はかなりの長期施策。今後もコツコツと積み重ねていきます。
技術者コミュニティへの貢献
外部のリアクションからも、我々の記事が技術者界隈に届き、良い影響を与えられたことが伺えて、テックカンパニーとして非常に誇らしい気持ちです。
テックブログが社内のナレッジ倉庫に
社内にもいい影響は出ていて、大体テックブログのネタはSynamonのエンジニアが躓くポイントになっているので、エンジニアが参照する良いナレッジのストック場所となりました。
Synamonをすでに卒業したメンバーの記事に助けられたりすることもしばしば。Synamonエンジニアチームの歴史が詰まったブログになっています。
情報発信に積極的な社内文化の形成
文化についてもいい影響の方が大きく、テックブログに感化されて、コーポレートチームもこの形式に則って「週1でnote出そう」という動きが起こり始めました。
情報発信に強い会社が今後の採用市場で優位なポジションを取っていくことは揺るがないでしょうし、今後も部署問わずに無理ない範囲でどんどん社内にいい影響を与えながらテックブログを育てていければと考えています。
今の課題と今後の取り組み
一番大きな課題は何といってもその自転車操業ぶり。
ここまで読んでお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、「来週も落とさないように頑張ります」=「まだ書けてない」ということ。今は毎週担当者が、仕組みと、使命感、モチベーションに突き動かされて書いています。
もうすこし余裕を持った運営にしたいので、現在はストック記事の準備に取り組んでいます(そして、この記事がストック記事第一弾)。
また、寄稿は度々あるものの、やはりまだテックブログ運営チームの執筆比率が高く負担が大きいので、無理のない範囲で社内メンバーの巻き込みもどんどん進めていきたいと考えています。
現時点でもSlack上の「テックブログで」絵文字、運営定例時の「あの人良いネタありそう」のシェアで巻き込みを行っていますが、もっと加速できる仕組みを模索中です。読んでいる方でワークした仕組みがある方はぜひ教えてください。
おわりに
本記事は、過去のテックブログ運営に関する記事を元に、エンジニアへのヒアリングをもって1年の振り返りとして書かせていただきました。
もっと初期~運用半年くらいの泥臭く手触り感ある話も詳しく聞きたい!という方はぜひ以下の記事もご参照ください(星影先生、本当にありがとうございました!!!)。
また、Synamonは現在幅広い職種で積極的に採用を行っております。
メタバースプラットフォーム開発の会社ですが、Unityだけでなく、バックエンド、フロントエンド、ネットワーク、ブロックチェーン…と幅広くエンジニアを募集しています。
少しでもご興味ある方は以下からご確認ください!
▼採用総合ページ(各種イベント案内もあります)
www.notion.so
▼カジュアル面談
皆さんのテックブログライフがより良いものとなれば幸いです!