テックブログ運営を回すための取り組み 〜再始動編〜
続かないテックブログ
エンジニアリングマネージャーの佐藤(@unsoluble_sugar)です!
「テックブログ(技術ブログ)は続かない」という話は、エンジニア界隈で定期的に話題になりますよね(唐突
なんとなく技術広報面で有益である認識はあるものの「運用がうまく回らない」という企業は多いのではないでしょうか。
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弊社Synamonのテックブログも例外ではありませんでした。
2020年以前は、年に5記事前後。2021年に至っては、5月にようやく1記事投稿という状況。
XR(VR/AR/MR)という市場づくりを担っている企業の一員として「さすがこれはまずいのでは…」という危機感を覚え、私が入社した2021年7月以後、テックブログ運営の立て直しを試みることにしました。
何はともあれ現状ヒアリング
まずは社内のエンジニアメンバーにヒアリングをし、現状の理解とこれまでの取り組みについて整理してみました。
Synamonのテックブログは2018年に発足。大枠の目的やガイドライン等の資料は残されているものの、現在在籍しているメンバーで詳細を把握しているのはごく数名。運営に積極的なメンバーも限られ、存在意義の共通認識も薄れているという状況でした。入社時のオンボーディングで伝え漏れていたりと、誰が担当しているのか不明瞭で聞くに聞けない状況も発生していたようです。
見えてきた問題
テックブログに関するヒアリングやブレストの結果、大きな問題のくくりとして以下のようなものが見えてきました。
- 書く人がいない
- 書く目的がわからない
- 書く人が限られている
- 書くのが面倒
- 更新が続かない
- 継続性のある運営施策が立てられていない
本記事では「書く人がいない」問題に対し、具体的にどのような取り組みを行なったかについて書かせていただきます。
テックブログを書く目的の明確化
大前提として「テックブログを書く目的がわからない」というメンバーも見受けられたため、改めてテックブログを書くことで得られるメリットを言語化・可視化することにしました。
企業の性質によっても観点は異なるかと思いますが、主なメリットとしては以下のような要素が挙げられました。
- 外部のエンジニアに対する認知向上
- どんな技術を扱っているか
- どんなエンジニアが居るか
- 組織やチームにおけるカルチャーの発信
- 採用面で有用
- 採用候補者がテックブログを見てくれる
- 直接的な効果があるとは言い難いが、継続できれば中長期でストック型コンテンツとなる
- エンジニア個人のブランディング
- Synamonの○○さん
- あの記事を書いていた○○さん
- あの技術領域に詳しい○○さん
- アウトプット能力の向上
- それなりに調べて、情報を整理する必要がある
- 外向けに正しく伝えようとする書き方が鍛えられる
- 数をこなせば書くハードルが下がる
- 他媒体でも書けるようになる
- 普段つくっているものに価値があるということの再認識
- 外からフィードバックを得られる機会が増える
- 場合によっては検索でヒットして会社やプロダクトの露出も増える
- 誰かの役に立つという実感を持てる
個人的には「情報は発信する人のところに集まる」という認識があったので、テックブログをやらない理由はないと思っていました。しかしながら、改めてその理由を言語化して共通認識を深めることで、これまでテックブログに懐疑的だったメンバーも協力的な姿勢になってくれる比率が増えた印象です。
技術ブランディングという面では、まだまだコンテンツが足りず方向性が定めきれていない部分もあるため、今後徐々に詰めていければと考えています。
特に弊社Synamonは、XR界隈においてはそれなりに名は知られているものの、テック企業としての知名度は皆無な認識です。エンジニアへの認知獲得という点においては、テックブログは最も重視されるべきコンテンツだと言えるでしょう。
目標のフォーカスを絞る
続いてテックブログの具体的な運営施策のお話です。まずは「書く人を増やす」「書くハードルを下げる」という点にフォーカスし、継続できる体制の土台構築をすることを目指しました。
ロードマップを引いて計画的に進行していくのが理想的ではあるものの、運営に割けるリソースも限られています。施策についても選択と集中をすることで、足元を固めつつ前進し、小さな改善サイクルを回しながら方向性を見定めていくスタイルが妥当だと判断しました。
書く人を増やす
これまでも「テックブログを書いていた」「書けそう」「書いてみたい」というエンジニアが数名居たため、特に意欲の高いメンバーを集め、運営チームを発足することとしました。熱量のある人たちを集めるというのは、困難な状況を打破するための通過儀礼みたいなものです。
編集長を置くという方針も考えられましたが「少しでも多くのメンバーに当事者意識を持ってもらいたい」という思いや、継続性の担保を重視し、今回はチームでの体制づくりを選択しました。
専任の担当を立てたとしても、その人が忙しいとどうしても続かなかったり、ひとりでは本人のモチベーション維持が難しいといった問題はよく起きます。また、チームや部署をまたいだ体制の方が、より多くのメンバーを巻き込めるだろうという算段もありました。
実際に運営チームとして動くことにより、少しずつ書いてくれる人が増えてきました。各プロジェクトで得られた知見についても「テックブログで発信できそうかも?」といった対話の機会が生まれ、テックブログという媒体を介し、エンジニア同士の情報交換が活発になるという副作用も得られています。
有志メンバーで開催しているPMBOK勉強会が継続できているのも、テックブログの存在が支えとなっている気がします。ただ社内で完結するだけでなく「学んだ内容をテックブログに書けると良さそう!」という相乗効果があるからこそ、お互い両立できているのかもしれません。 synamon.hatenablog.com
「会社として技術力を前面に出していくのか」「業務の一環とするか否か」といった観点も、書く人を増やすための重要なポイントになりそうですね。
書くハードルを下げる
Synamonではそもそも「記事を書く人が少ない」という大きな課題がありました。理由は多々ありますが、とにかく記事を書く上で懸念となっている障害をひとつずつ取り除いていくことが大切です。
そのため、記事執筆&公開までのハードルを極力下げる方向で運用検討を進めました。
- まずは運営チームが率先して記事を出すことで雰囲気を掴んでもらう
- 記事公開までのフローを最小限にとどめる
- 記事ネタについて相談する場を設ける
- 簡易的なレビュー体制を整える
運営チーム発足後の実施開始から、まだ2ヶ月程度ではありますが、現時点でひと月に4記事出せている状況です。
これは運営チームで掲げた当面の目標として「最低でも週に一度は記事を出せる体制づくりを行う」というものがあり、その目標に向かって各自が動いてくれている結果だと思います。
俺たちの戦いはこれからだ…!
走り出しが好調な一方で、今Qは個人目標にテックブログを書くことを設定したメンバーが多かったり、Synamonのnoteや公式Twitterでの情報発信の活性化も相まって、運営再始動のタイミングでブーストがかかったような印象もあります。
一過性で終わらせることなく、今後も継続のサイクルを回せるようにするための施策は、引き続き検討していく必要がありそうです。継続性のある運営施策として、記事管理シートや運営定例MTGの実施なども行なっているところですが…
少し長くなってしまったので、今回のお話はここまでとしておきます。
追記:続編書きました!
最後に
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それでは、また次回お楽しみに!